日本数学検定協会が実施する全国レベルの絶対評価検定。記述式で思考力・判断力・表現力を評価し、計算・作図・表現・測定・整理・統計・証明の7技能を測ります。
実用数学技能検定(数検)とは(概要)
実用数学技能検定とは、数学・算数の実用的な技能を測る記述式の検定で、公益財団法人日本数学検定協会が実施している全国レベルの実力・絶対評価システムです。技能は、計算、作図、表現、測定、整理、統計、証明の計7つを測定します。
この検定試験には「記述式」が含まれており、思考力、判断力、表現力などの能力が育っているかを評価します。複数解法があり得るため、採点では過程も評価し部分点を付与します。
級の体系と試験構成(算数検定・数学検定、一次・二次)
英検や漢検のように級ごとレベル分けがあり、1級〜11級まで存在。11〜6級は算数検定、5級以上は数学検定です。5級以上は「一次試験:計算技能検定」と「二次試験:数理技能検定」に分かれ、一次は計算中心、二次は文章題・応用・記述が出題されます。
各級のレベル・出題範囲・合格基準
11級(小1相当)
学年の目安 | 小学校1年生程度 |
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検定時間 | 40分 |
出題数 | 20問 |
合格基準 | 全問題の70%程度 |
構造 | 小学校1年生程度が90%、特有問題が10% |
内容 | 小学校1年生程度の問題では、個数や順番、整数の意味と表し方、整数のたし算・ひき算、長さ・広さ・水の量などの比較、時計の見方、身の回りにあるものの形とその構成、前後・左右などの位置の理解、個数を表す簡単なグラフなどが出題されます。 |
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能(小1)
- 画用紙などを合わせた枚数や残りの枚数を計算して求めることができる。
- 鉛筆などの長さを、他の基準となるものを用いて比較できる。
- 缶やボールなど身の回りにあるものの形の特徴をとらえて、分けることができる。
10級(小2相当)
学年の目安 | 小学校2年生程度 |
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検定時間 | 40分 |
出題数 | 20問 |
合格基準 | 全問題の70%程度 |
構造 | 小学校1年生程度が45%、2年生程度が45%、特有問題が10% |
内容 | 小学校2年生程度の問題では、百の位までのたし算・ひき算、かけ算の意味と九九、簡単な分数、三角形・四角形の理解、正方形・長方形・直角三角形の理解、箱の形、長さ・水のかさと単位、時間と時計の見方、人数や個数の表やグラフなどが出題されます。 |
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能(小2)
- 商品の代金・おつりの計算ができる。
- 同じ数のまとまりから、全体の数を計算できる。
- リボンの長さ・コップに入る水の体積を単位を使って表すことができる。
- 身の回りにあるものを分類し、整理して簡単な表やグラフに表すことができる。
9級(小3相当)
学年の目安 | 小学校3年生程度 |
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検定時間 | 40分 |
出題数 | 20問 |
合格基準 | 全問題の70%程度 |
構造 | 小学校2年生程度が45%、小学校3年生程度が45%、特有問題が10% |
内容 | 小学校3年生程度の問題では、整数の表し方、整数の加減、2けたの数をかけるかけ算、1けたの数でわるわり算、小数・分数の意味と表し方、小数・分数の加減、長さ・重さ・時間の単位と計算、時刻の理解、円と球の理解、二等辺三角形・正三角形の理解、数量の関係を表す式、表や棒グラフの理解などが出題されます。 |
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能(小3)
- 色紙などを、計算して同じ数に分けることができる。
- 調べたことを表や棒グラフにまとめることができる。
- 体重を単位を使って比較できる。
8級(小4相当)
学年の目安 | 小学校4年生程度 |
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検定時間 | 50分 |
出題数 | 30問 |
合格基準 | 全問題の70%程度 |
構造 | 小学校3年生程度が45%、小学校4年生程度が45%、特有問題が10% |
内容 | 小学校4年生程度の問題では、整数の四則混合計算、小数・同分母の分数の加減、概数の理解、長方形・正方形の面積、基本的な立体図形の理解、角の大きさ、平行・垂直の理解、平行四辺形・ひし形・台形の理解、表と折れ線グラフ、伴って変わる2つの数量の関係の理解、そろばんの使い方などが出題されます。 |
身近な生活に役立つ算数技能(小4)
- 都道府県人口の比較ができる。
- 部屋、家の広さを算出することができる。
- 単位あたりの料金から代金が計算できる。
7級(小5相当)
学年の目安 | 小学校5年生程度 |
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検定時間 | 50分 |
出題数 | 30問 |
合格基準 | 全問題の70%程度 |
構造 | 小学校3年生程度が45%、小学校5年生程度が45%、特有問題が10% |
内容 | 小学校5年生程度の問題では、整数や小数の四則混合計算、約数・倍数、分数の加減、三角形・四角形の面積、三角形・四角形の内角の和、立方体・直方体の体積、平均、単位量あたりの大きさ、多角形、図形の合同、円周の長さ、角柱・円柱、簡単な比例、基本的なグラフの表現、割合や百分率の理解などが出題されます。 |
身近な生活に役立つ算数技能(小5)
- コインの数や紙幣の枚数を数えることができ、金銭の計算や授受を確実に行うことができる。
- 複数の物の数や量の比較を円グラフや帯グラフなどで表示することができる。
- 消費税などを算出できる。
6級(小6相当)
学年の目安 | 小学校6年生程度 |
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検定時間 | 50分 |
出題数 | 30問 |
合格基準 | 全問題の70%程度 |
構造 | 小学校5年生程度が45%、小学校6年生程度が45%、特有問題が10% |
内容 | 小学校6年生程度の問題では、分数を含む四則混合計算、円の面積、円柱・角柱の体積、縮図・拡大図、対称性などの理解、基本的単位の理解、比の理解、比例や反比例の理解、資料の整理、簡単な文字と式、簡単な測定や計量の理解などが出題されます。 |
身近な生活に役立つ算数技能
- 容器に入っている液体などの計量ができる。
- 地図上で実際の大きさや広さを算出することができる。
- 2つのものの関係を比やグラフで表示することができる。
- 簡単な資料の整理をしたり表にまとめたりすることができる。
5級(中1相当)【一次・二次】
学年の目安 | 中学校1年生程度 | ||
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一次 | 計算技能検定 | 二次 | 数理技能検定 |
検定時間 | 一次50分 二次60分 | ||
出題数 | 一次30問 二次20問 | ||
合格基準 | 一次は全問題の70%程度 二次は全問題の60%程度 | ||
構造 | 小学校5年生程度が30%、小学校6年生程度が30%、中学校1年生程度が30%、特有問題が10% | ||
内容 | 中学校1年生程度の問題では、正の数・負の数を含む四則混合計算、文字を用いた式、一次式の加法・減法、一元一次方程式、基本的な作図、平行移動、対称移動、回転移動、空間における直線や平面の位置関係、扇形の弧の長さと面積、空間図形の構成、空間図形の投影・展開、柱体・錐体及び球の表面積と体積、直角座標、負の数を含む比例・反比例、度数分布とヒストグラムなどが出題されます。 |
社会で賢く生活するために役立つ基礎的数学技能
- 負の数がわかり、社会現象の実質的正負の変化をグラフに表すことができる。
- 基本的図形を正確に描くことができる。
- 2つのものの関係変化を直線で表示することができる。
4級(中2相当)【一次・二次】
学年の目安 | 中学校2年生程度 | ||
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一次 | 計算技能検定 | 二次 | 数理技能検定 |
検定時間 | 一次50分 二次60分 | ||
出題数 | 一次30問 一次20問 | ||
合格基準 | 一次は全問題の70%程度 二次は全問題の60%程度 | ||
構造 | 小学校6年生程度が30%、中学校1年生程度が30%、中学校2年生程度が30%、特有問題が10% | ||
内容 | 中学校2年生程度の問題では、文字式を用いた簡単な式の四則混合計算、文字式の利用と等式の変形、連立方程式、平行線の性質、三角形の合同条件、四角形の性質、一次関数、確率の基礎、簡単な統計などが出題されます。 |
社会で主体的かつ合理的に行動するために役立つ基礎的数学技能
- 2つのものの関係を文字式で合理的に表示することができる。
- 簡単な情報を統計的な方法で表示することができる。
3級(中3相当)【一次・二次】
学年の目安 | 中学校3年生程度 | ||
---|---|---|---|
一次 | 計算技能検定 | 二次 | 数理技能検定 |
検定時間 | 一次50分 二次60分 | ||
出題数 | 一次30問 二次20問 | ||
合格基準 | 一次は全問題の70%程度 二次は全問題の60%程度 | ||
構造 | 中学校1年生程度が30%、中学校2年生程度が30%、中学校3年生程度が30%、特有問題が10% | ||
内容 | 中学校3年生程度の問題では、平方根、式の展開と因数分解、二次方程式、三平方の定理、円の性質、相似比、面積比、体積比、簡単な二次関数、簡単な統計などが出題されます。 |
社会で創造的に行動するために役立つ基礎的数学技能
- 簡単な構造物の設計や計算ができる。
- 斜めの長さを計算することができ、材料の無駄を出すことなく切断したり行動することができる。
- 製品や社会現象を簡単な統計図で表示することができる。
準2級(高1相当)【一次・二次】
学年の目安 | 高校1年生程度 | ||
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一次 | 計算技能検定 | 二次 | 数理技能検定 |
検定時間 | 一次50分 二次90分 | ||
出題数 | 一次15問 二次10問 | ||
合格基準 | 一次は全問題の70%程度 二次は全問題の60%程度 | ||
構造 | 中学校3年生程度が40%、高校1年生程度が50%、特有問題が10% | ||
内容 | 高校1年生程度の問題では、数と集合、数と式、二次関数・グラフ、二次不等式、三角比、データの分析、場合の数、確率、整数の性質、 n進法、図形の性質などが出題されます。 |
日常生活や社会活動に応じた課題を正確に解決するために必要な数学技能(数学的な活用)
- グラフや図形の表現ができる。
- 情報の選別や整理ができる。
- 身の回りの事象を数学的に説明できる。
2級(高2相当)【一次・二次】
学年の目安 | 高校2年生程度 | ||
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一次 | 計算技能検定 | 二次 | 数理技能検定 |
検定時間 | 一次50分 二次90分 | ||
出題数 | 一次15問 二次2題必須、5題から3題選択 | ||
合格基準 | 一次は全問題の70% 二次は全問題の60% | ||
構造 | 高校1年生程度が40%、高校2年生程度が50%、特有問題が10% | ||
内容 | 高校2年生程度の問題では、式と証明、分数式、高次方程式、いろいろな関数(指数関数・対数関数・三角関数・高次関数)、点と直線、円の方程式、軌跡と領域、微分係数と導関数、不定積分と定積分、複素数、方程式の解、確率分布と統計的な推測などが出題されます。 |
日常生活や業務で生じる課題を合理的に解決するために必要な数学技能(数学的な活用)
- 複雑なグラフの表現ができる。
- 情報の特徴を掴みグループ分けや基準を作ることができる。
- 身の回りの事象を数学的に発見できる。
準1級(高3相当)【一次・二次】
学年の目安 | 高校3年生程度 | ||
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一次 | 計算技能検定 | 二次 | 数理技能検定 |
検定時間 | 一次60分 二次120分 | ||
出題数 | 一次7問 二次2題必須、5題から2題選択 | ||
合格基準 | 一次は全問題の70%程度 二次は全問題の60% | ||
構造 | 高校2年生程度が40%、高校3年生程度が50%、特有問題が10% | ||
内容 | 高校3年生程度の問題では、数列と極限、関数と極限、いろいろな関数(分数関数・無理関数)、合成関数、逆関数、微分法・積分法、行列の演算と一次変換、いろいろな曲線、複素数平面、基礎的統計処理などが出題されます。 |
情報科学社会に対応して生じる課題を創造的に解決するために必要な数学技能
- 自然現象や社会現象の変化の特徴を掴み、表現することができる。
- 身の回りの事象を数学を用いて表現できる。
1級(大学・一般)【一次・二次】
学年の目安 | 大学程度・一般 | ||
---|---|---|---|
一次 | 計算技能検定 | 二次 | 数理技能検定 |
検定時間 | 一次60分 二次120分 | ||
出題数 | 一次7問 二次2題必須、5題から2題選択 | ||
合格基準 | 一次は全問題の70%、二次は全問題の60% | ||
構造 | 大学程度・一般90%、特有問題が10% | ||
内容 | 大学・一般程度の問題では、 【解析】 微分法、積分法、基本的な微分方程式、多変数関数(偏微分・重積分)、基本的な複素解析 【線形代数】 線形方程式、行列、行列式、線形変換、線形空間、計量線形空間、曲線と曲面、線形計画法、二次形式、固有値、多項式、代数方程式、初等整数論 【確率統計】 確率、確率分布、回帰分析、相関係数 【コンピュータ】 数値解析、アルゴリズムの基礎 【その他】 自然科学への数学の応用 などが出題されます。 |
報科学社会の発展や地球環境の保全あるいは経済活動などを自立的、協働的に推進するために必要な数学技能
- 自然科学に密着した数学上の諸技法を駆使し、諸法則を活用することができる。
- 抽象的な思考ができる。
- 身の回りの事象について、数学的に推論ができる。
入試で使える大学(参考リンク)
日本数学検定協会の公開資料に、入試活用情報が掲載されています。
数検の勉強法(効果的な進め方)
1)関連単元に戻る:積み上げ学習で弱点を埋める
数学は積み重ね科目。理解が曖昧な単元に戻って復習し、現在学習中の単元とのつながりを意識して進めます。
2)自分の言葉で説明する:解法の「根拠」を定着
解説を読んだら、自分の言葉で手順と理由を説明。言語化で理解の抜けを発見し、応用問題への耐性を高めます。